人形劇 葛尾大尽物語

人形劇葛尾大尽物語

 



 



第二場 その一





  (大尽の、多くの屋敷が立ち並ぶ図)


キジ   『物語は、これより初代松本三九郎 好倉より、四代目三九郎 聰通の頃とな

      ります。

      初代三九郎が起こした商いは その後、代を経て木材・塩・生糸そして鉄と

      広がり、葛尾大尽の名は、三春・相馬・棚倉を始め、遠くは京都・大阪まで

      知られることとなりました。

      四代目三九郎 聰通は、四十八の家屋敷を持ち、商才に長け人望厚く、村人

      からも尊敬されておりました。ですが、何か足りないものがある、心にポッ

      カリと穴の開いたような寂しさ・・・。

      さて これは一体何なのだろう。思い巡らせてみますと、先頃 商いで訪れ

      た京都のとある屋敷で見かけた美しい娘、イネへの恋心なのでございました。

      白百合のごとく清らかなその姿、鈴を振るような愛らしいその声を思うたび

      に、聰通の胸は ザワザワと波打つのでございました。』


  (聰通、上手より登場)


聰通   『は〜 (ため息)』


キジ   『いかがなさいました? お大尽さま。』


聰通   『手紙(ふみ)がこないのだ。』


キジ   『手紙?』


聰通   『実は、イネ殿の親御に 私の思いを手紙にし

             たためた。』


キジ   『ほ〜』


聰通   『イネ殿を、この地に迎えたい・・とな。』


キジ   『つまり・・・。』


聰通   『つまり、嫁に欲しいということだ。』


キジ   『して、返事は?』


聰通   『来ないから、眠れぬ夜を過ごしておる。』


キジ   『ならば、私めが、どこまで返事の手紙が来ているか、見定めて参りましょう。』


聰通   『おお そうか、すまぬがそうしてくれ。』


キジ   『しばし、待っていてくださいませ。』


  (キジ、バタバタと飛んで行く)


  (その間 聰通は、ウロウロと動き回っては、ため息をつく)


  (キジ、手紙をたずさえて、戻って来る)


聰通   『おお〜 すまぬ。(手紙を受け取り、開けて読もうとする)

      こ・こわい! 何と書いてあるのか、知るのが・・・恐ろしい。』


キジ   『お大尽さま、ご心配めされるな。なるようになる! で、ございますよ。』


聰通   『そうだな、では 読むぞ! 』


  (しばしの間)


聰通   『お〜っ! 』


キジ   『何と 書いてありました?』


聰通   『イネが嫁に来るぞ! なんと喜ばしいことだ! キジよ、お前に感謝するぞ。

      さっそく、嫁取りの支度だ! 』


  (聰通、軽やかに退場)


 その二へ 続


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